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広汎性発達障害とは?症状や年齢別の特徴、対処法などをご紹介

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「広汎性(こうはんせい)発達障害」という言葉をご存知ですか?普段の生活の中で耳にすることは少ないと思いますが、これは「発達障害」にとても関わりが深い名前です。

今回はこの中身について、できる限り簡潔にまとめてみましたので、参考にして頂ければと思います。

広汎性発達障害とは?

本格的な中身に入る前に、まずは以下の5項目をご覧ください。

●自閉症
●アスペルガー症候群
●レット障害
●小児期崩壊性障害
●特定不能の広汎性発達障害

聞いたことがあるもの、初めて聞くものそれぞれあると思いますが、これらはすべて発達障害の名称です。

広汎性発達障害とは、この5項目を一つのグループにまとめた、その「グループ名」のことです。

少し硬めに書きますと、「社会性(言語や生活習慣、社会における役割)がうまく獲得できなかったり、コミュニケーション能力の遅れなどを特徴とする、発達障害の総称」です。

障害そのものではなく、いくつかの障害をひとつにくくった、その名前を指すと思ってください。

※2013年にアメリカ精神学会より発刊された「DMS-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)」によると、この5つの項目のうち「レット障害」を除いた4項目が、自閉症スペクトラム障害という新たな総称で統合されました。

よく、広汎性発達障害と自閉症スペクトラム障害の違いは何だろう?と思う方もいらっしゃいますが、この二つは、ほぼ同じ内容を指していると考えて良いでしょう。

広汎性発達障害の症状は?

広汎性発達障害によく見られる症状についてですが、これは大きく下記の3つに分けられます。

●社会性や対人関係の障害
●行動や興味の偏り
●コミュニケーション能力や言葉の発達の遅れ

以下、それぞれについて説明していきます。

社会性や対人関係の障害

言語や生活習慣、人と接する時の振る舞いなどに関するものです。

これらは更に4つの項目に分類され、各項目は、それぞれ異なった特徴を持っています。

受動型

言われたことは何でもその通りに従ったり、周りの物事を何でも受け入れるタイプです。
物事に好き嫌いが無いため、慣れないことを受け入れてしまった場合は、驚いてパニックを起こしてしまうこともあります。

孤立型

このタイプは、基本的に周囲の人間に関心を持たない特徴があります。
具体的には、人と目を合わせたり会話をしようとしない、名前を呼んでも反応しない、などといったものです。

積極型

このタイプは孤立型とは反対に周囲と関わりを持ち、進んで会話も行うのですが、一方的に話し続けたり、同じことを繰り返し何度も話すといった特徴が見られます。

尊大型

このタイプは、人と関わる中で相手を見下したり、横柄な振る舞いをするといった特徴が見られます。

行動や興味の偏り

二番目は、特定の物や行動に対して、強い興味関心を示すといったものです。
具体的には、長時間ずっと同じおもちゃで遊び続けたり、同じ食べ物へのこだわりが強く偏食の傾向があったり、同じパターンの行動を何度も繰り返す、といったケースです。

コミュニケーションや言葉の発達の遅れ

相手とのやり取りに関するものです。会話が短い単語の羅列になったり、伝えた言葉をそのまま返す「オウム返し」が見られます。
また、会話だけではうまく理解することができず、絵や図式を使った説明が必要になったりします。

広汎性発達障害の原因とは?

この疾患を引き起こす原因として、脳機能が十分に発達していないことが挙げられます。

双子の場合は、「二卵性」よりも「一卵性(顔や背丈がそっくり)」の方が、特に発症する可能性が高いと言われています。

ただ、脳機能が十分に発達しないメカニズムについては、未だ明確には解明されていません。

また、広汎性発達障害は親から子へ遺伝するのか?といった疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、これについても、何パーセントの確率で発症するかはハッキリと示されていません。

親がこういった障害を持っているから子供も発症するとは限りませんし、逆に健常な親から障害を持った子供が生まれてくる可能性もあるということです。

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広汎性発達障害は、様々な遺伝要素や周囲の環境などが複雑に作用して起こるものであるため、一概に「こうだから起こる」とは言えないのが現状となっています。

年齢別の行動の特徴は?

私たちは、生まれた時から周囲の環境に応じて柔軟に成長していきます。

見たり聞いたりするもの、関わる周囲の人達などは年齢によって違いますし、周囲から刺激を受けた時の反応の仕方も様々です。

ここでは、大きく「出生~小学校入学」「小学校卒業まで」「小学校卒業以降」に区分けをし、それぞれの時期においてどのような特徴が見られるかをまとめましたので、参考にしてください。

出生~小学校入学

乳幼児期は、言葉の習得やコミュニケーション能力が未発達であるため、発達障害かどうかの区別が最もつきにくい時期です。

この時期に現れやすいポイントとしては、

●強いこだわりを持っている
●周囲へ全く関心を示さない

の二点です。

四六時中ずっと同じおもちゃや絵本を持っていたりする場合は「行動や興味の偏り」に、物音がしたり名前を呼んでも一向に振り向かない場合は「孤立型」に該当する可能性があります。

ただ、前述しましたように乳幼児期は広汎性発達障害と判断することは難しく、病院の診察においてもハッキリとした診断が下ることは少ないため、長期に渡っておかしい点が見られない場合は、しばらく様子を見守ってあげることが望ましいでしょう。

小学校卒業まで

小学校に入学すると、集団行動をする機会がぐっと増えるようになります。発達障害の場合、こういった集団に馴染めず常に一人でいたり、状況に応じた臨機応変な行動ができないなどの特徴が目立ってきます。

その他にも、具体的な説明が苦手であったり、自分の気持ちをうまく言葉にできない場合も多く見られます(例えば、やりたいことがあっても、それを相手にどう伝えたら良いか
わからないため、単語を並べて発言するといったパターンです)。

この時期になると、日常生活の中でも特徴が現れやすくなりますので、お子さんの様子をこまめに気にかけてあげてください。

小学校卒業以降

小学校在学中と大きな違いはありませんが、喋り方が不自然であったり、特定の物事に没頭したり、相手の気持ちを読み取ることが苦手な傾向があります。

この時期になると、発達障害に見られる特徴が、より顕著に現れるようになります。

広汎性発達障害の診断と治療法は?

広汎性発達障害の診断には、先程採りあげましたDMS-5や、世界保健機関(WHO)が発行している「ICD-10(国際疾病分類 第10版)」などが用いられます。

これらの診断基準に基づき、担当の医師がテストや検査、日常生活についての聞き取り(どのような生活スタイルを送っているか、どのようなことができないのか等)を実施し、総合的に判断されるパターンがほとんどです。

前述しましたとおり、DMS-5によってグループ名の変更が行われたため、今後は「自閉症スペクトラム障害」と診断されることが多くなっていくと思われますが、専門の機関や医師によっては引き続き「広汎性発達障害」を用いる場合もあるため、頭の隅に留めておいてください。

治療法は確立されているの?

現在、広汎性発達障害の治療法についても様々な研究が行われていますが、そのメカニズムの複雑さから、根本的に治療する方法は見つかっておりません。

こうしたことから、専門機関では発達障害を「治す」よりも、「上手に付き合っていく」ことに重点が置かれています。

すなわち、「日常生活の中で直面する様々な困難にどう対処していくか」ということをポイントに、困難を乗り越えるための様々な「訓練」や「教育」が行われています。

日常生活で発症の疑いがある場合は?

広汎性発達障害かどうかは、専門の医療機関などで様々な検査を行ったうえで、総合的に判断されます。

ですので、普段の生活の中で気になる点がある場合は自己判断せず、医師に相談するようにしてください。

医療機関については、小児科や心療内科、脳神経外科などが該当します。

もしもこうした専門の医院が身近にない場合、まずはお住いの地域の障害者支援センター、子育て支援センターなどに相談してみてはいかがでしょうか。

担当職員に親身に相談に乗ってもらえたり、場合によっては受診できる病院を紹介してもらえたりしますよ。

おわりに

発達障害は決して珍しい病気ではなく、私たちの身近に存在するものです。

症状の度合いや、できること、できないことについては個人差がとても大きく、ひとりひとりの状況を理解してあげたうえで、それぞれ異なった形で支援を進めていく必要があります。

長々と書き連ねてきましたが、広汎性発達障害について少しでも頭に入れて頂けたなら幸いです。

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